タ モ
所変われば
タモは北海道産が有名ですが、ヤチダモと呼ばれる高さ25m以上まで育つものや、アオダモのように10m程度までしか育たないものもあり、呼び名もオオバトネリコやシオジなど様々です。日本の地形が複雑で四季の変化が大きいために、地域によって他の樹木同様にその土地の呼び名で親しまれているようです。
成長が悪くても
タモは世界的に運動用具の材料として有名です。中でもアオダモがその大部分を占め、野球のバット・ホッケーやゲートボールのスティック・ゴルフのクラブヘッドなどに使われています。この運動用具に使用されるタモは成長が良く、年輪の幅が大きく重硬なものです。一方成長が悪くて比重が軽く柔らかい材料は、加工がしやすいため家具・建物内部の造作・床材などに使用されます。
次第に入手が困難に
タモは北海道から九州まで広く分布していますが、樹高10mと大木にならないために材料があまり取れないことと、スギやヒノキに比べて備蓄が少ないことから、価格が上昇し入手が困難になってきています。スギやマツのように需要が減って余っているものもあれば、タモのように残念ながら姿を消しつつある樹種もあるようです。
ヒノキ
建築材料の看板役者
ヒノキはスギに次いで造林面積が広く、天然物の長野の木曽桧・和歌山の紀州桧などと並び、三重や奈良などの人工造林が伐採される木材もとても有名です。一般的にはヒノキは高級な材料とされてきましたが、強度や耐久性だけでなく、心材から淡紅色で、辺材はほとんど白色であることから、白木を好む神社仏閣で使われてきたことも要因のようです。
強い耐久性
ヒノキは抗菌性が高いためシロアリや木材腐朽菌に強く、また湿気にも強いため、住宅では土台や浴槽、台所でもまな板に使われるなど、たんなる建築材料としてだけではなく、その特徴がより発揮されるところで使われてきました。 また、特有の芳香があることから、見た目の美しさを持つスギに対し、ヒノキは香りを売ると言われてきました。
森林浴から日用品まで
ヒノキの香りには鎮静作用があり、森林浴の効果もここから得られます。このため、ヒノキ精油を用いた芳香剤や石鹸・入浴剤などが出回っています。また、最近では布団や衣類にもその成分を配合したものがでているそうです。 さらに、医療の世界でもMRSAなどに対する殺菌作用があるため、殺菌・消毒剤としての利用開発も期待されています。 以上のようにヒノキは非常に優れた性質を持つため、多くの用途に高品質な材料として利用されています。ヒノキ造りの家などと高級な住宅の代名詞になるのもこのためです。
ヒ バ
明日はヒノキに
ヒバは日本のみに生息し、本州南部・四国・九州などに分布します。青森県下北半島北部の原生林は日本三大美林の一つとして知られ、ここに群生している青森ヒバは、ヒノキアスナロというヒバの変種です。アスナロという呼び名は皆さんも1度は耳にしたことがあるでしょう。
抗菌作用はヒノキ以上
ヒバはヒノキ科の樹種ですから、ヒノキ同様抗菌性や耐水・耐久性に優れていますが、中でもその抗菌性はヒノキ以上で、青森ヒバを土台に使えばシロアリ駆除剤を使わなくてもよいほどです。また、その成分『ヒノキチオール』は、ヒバ特有のもので、MRSA・O157に対しての抗菌作用があります。 最近ではその抗菌性の持続についての実験がなされており、病院の床の掃除に使用されたりしています。この他、養毛剤・化粧品・歯磨き・まな板・風呂桶・石鹸など、いろいろな用途でこのヒノキチオールは活躍しています。
地域密着型
ヒバはどちらかというと産地やその周辺で多用されることが多く、全国的にはアスナロの名前ほど、建築材料としての知名度は高くありません。ですが広く人工造林されている石川県能登半島ではアテと呼ばれ、あの輪島塗の素地に用いられています。また、ヒノキは法隆寺で有名ですが、ヒバも岩手県平泉の中尊寺に使われており、産地の周辺では古くからヒノキに負けず劣らずの良材として知られていたようです。
マ ツ
慶事といえば
マツは樹齢が長く葉が色を変えないため、人の節操・長寿・繁栄の象徴とされています。また松竹梅や門松などという言葉からも分かるように、慶事の木としても用いられ、スギやヒノキ以上に馴染みの深い木です。
マツはマツでも・・・
一口にマツといっても国内に自生するものは数種類にのぼりますが、身近なのは赤松と黒松です。塩害に強いため、海辺に近いところで見かけるのが黒松で、海岸の防風林として造林されています。一方赤松は内陸部に自生し、俗にいう街道の松並木はほとんどが赤松です。ちなみにマツタケが生えるのはこの赤松の林の中です。また、両者とも性質はほとんど同じで、岩手の南部松・福島の島津松・高知の大道松・宮崎の向日松などが有名です。
木材としては曲者
マツを建築材料として使う上で『ヤニ・カビ・ネジレ』の3点に注意しなければなりません。仕上の造作に使った場合にヤニが出ると、手につくし、見た目も好ましくありません。また、伐採時期や伐採後の乾燥状況によってカビが生えることがあります。さらに、ネジレを起こしやすいので、小屋裏等見えないところに使うなど、注意が必要です。
ス ギ
建築材料の代表選手
スギは建築に使われる木材のなかで、最もポピュラーな材種で、用途的にも構造材から造作材まで幅広く使用されています。また日本のほぼ全域にわたって分布していますが、実はそのほとんどが人工造林されたものです。秋田杉や屋久杉のように天然のものは極稀で、良材で知られる奈良の吉野杉・三重の尾鷲杉・静岡の天竜杉なども古くから造林されたものです。
どこにでも使える便利屋さん
スギの心材はアカミといわれ、桃色から黒っぽい赤まで様々です。このアカミは伐採時には水分を多く含んでいますが、乾燥してくると強度が増し、腐りにくいという特徴を持っています。このため、地域によってはアカミだけで製材したものを土台に使うこともあります。一方辺材はシラタといわれ、主に建物内部の造作に使われます。昔からスギは目を売ると言われるように、木肌が非常に美しく、また手触りも柔らかく暖かみのある素材です。
住環境と地球環境の両面でも注目
スギは日本の木の中では成長が早く、生産性が高いため古くから全国各地で植林が行われていました。みなさんもご存知のように樹木には二酸化炭素を吸収し、酸素を吐き出すという性質を持っています。若い樹木はその運動が非常に活発で、老齢化した樹木の3倍も二酸化炭素を吸収するといわれています。 最近、より安価で手に入る外材に押され気味のスギですが、老齢化した樹木を伐採して使用し、そこにまた植林をすることで地球の温暖化や二酸化炭素の排出の問題もかなりの部分が解決されると言われています。 また建物の内部に使用すると、湿気やシックハウスの原因となるホルムアルデヒドを吸収してくれることも実験で証明されています。これらのことから、床や内部の壁・また押入の内部などに使用されるケースが増え、より安価な外材に押され気味だったスギも再び脚光を浴びるようになってきました。